Uターン転職とは、地元を出て都会で就職をした人が、転職で地元に戻ってくることです。
進学で都会へ出て、卒業後にそのまま都市部に就職した方であれば、誰でも一度はUターン転職について考えたことがあるかと思います。
Uターン転職には生まれ育った環境で、これまで都市部で培った能力を活かせるといった魅力もありますが、それを活かす機会が少なかったり、年収が下がったりしないかと不安になる部分もあると思います。
そこでこの記事では、実際にUターン転職を行った筆者が後悔しないUターン転職の進め方についてまとめてみました。
Uターン転職のメリットとデメリット
Uターン転職を行うことで得られるメリットとデメリットとして、以下の内容が挙げられます。
Uターン転職のメリット
- 慣れ親しんだ土地で働ける
- 良く知った仲の友人と時間を過ごせる
- 生活環境を変えることができる
- 自治体の支援を受けられる
Uターン転職のデメリット
- 都市部と比較して、仕事が少ない
- 収入が下がる可能性がある
- 転居に費用が掛かる
- 働きながら転職活動をする場合、時間やコストがかかる。
子供のころから過ごした場所は、その人にとって最も自然体でいられる環境です。
土地勘もあり、家族や知人も多いというのは、仕事だけではなく生活をする上でも大きなメリットです。
実際にUターン転職を経験した私も、休日に学生時代からの友人と時間を過ごすことでリラックスできましたし、新しい環境で心機一転、異業種の仕事にもチャレンジすることもできました。
その一方で、地方は都市部と比較するとどうしても企業数が少なく、求人が見つかりにくい傾向にあります。また、平均収入も低いことも事実です。
「せっかくUターン転職を成功させても、生活水準が下がってしまうのでは?」という不安がありますよね。
Uターン転職による年収の変化
Uターン転職を行い、地方で働くこととなった場合、年収はどうなるのでしょうか?
少し古いデータとなりますが、中小企業庁が2015年の実績として公表した『UIJターンを伴う転職による年収の変化(第2-2-55図)』によると、約44%の転職者は「減収していない」と回答しています。
一般的には収入が下がる印象のある地方への転職ですが、約半数は収入を維持または増加させることができたようです。
都市部に本社がある企業の支店であれば、本社と支店間での賃金に差があまりない場合も多く、そうした企業を探すという手もあるでしょう。
一方で、残りの半数は収入が下がっているのも事実といえます。半々で年収が下がると聞くと躊躇するかもしれません。
しかし、一度考えていただきたいのは、Uターン転職の目的は年収だけなのか、ということです。
株式会社クリエイトが2023年6月21日付けで公表した調査によると、Uターン転職をして満足している点のトップ3に「実家または実家近くに住める(34.4%)」、「職場での人間関係(25.7%)」、「生活にかかるコスト(23.3%)」が挙げられています。
「収入を上げること」を唯一の目的として転職活動を行うのであれば、東京などの都市部の仕事に応募する方が無難です。
しかし、上記で示したような生活そのものの満足度を高めたいのであれば、Uターン転職は十分に有意義な選択と考えられます。
Uターン転職では年齢をあまり気にしなくても大丈夫
一般的には、転職においては年齢の若い方がポテンシャル採用をされやすく、有利といえます。
もちろん、その業界での経験が豊富だったり、マネジメント経験があったりすれば年齢を重ねていても十分に転職市場で戦うことができるでしょう。
Uターン転職でもこの傾向は確かに存在します。
ですが、一般的な転職と比較するとその重要性は高くありません。
地域にもよりますが地方は少子高齢化・人口減少が都市部よりも進んでおり、そもそも人材不足であることが多いです。
「東京の会社では中堅どころだった自分が、今の地元の会社では若手の部類だ」ということもあり得る話です。
また、新しい情報や技術が次々と導入されている都会で働いてきたという経験は、それだけでも武器になります。
特に規模の大きい企業で働いていた場合には、効率的な仕事の進め方や組織運営のノウハウなどを毎日目の当たりにしているはずです。
そうした知らず知らずのうちに会得してきた経験を整理し、再現性をアピールすることで地元の求職者との差別化を図ることができるでしょう。
Uターン転職をする理由は前向きなものであればOK
Uターン転職では「なぜこの会社を志望したのですか?」という質問と同じくらい、「なぜUターンをしたのですか?」という問いを面接でされることが多いです。
実際にUターン転職をした私も、面接時に聞かれました。
その経験から言わせていただくと、変に着飾った理由を作る必要はないと思います。
「生まれ育った地元でこれからの人生を過ごしたい」という思いは、単純ではありますが誰にでも伝わる考えだからです。
私の場合は「今後の人生を、家族や信頼できる友人たちと過ごしたいと考えていた」、「東京の仕事が一区切りついたので」と伝えました。
そのうえで、自分の能力とやりたい事が、志望企業とマッチしているという話をしました。
模範解答とはなりませんが、実際にUターン転職を成功されていますので、参考程度にはなるかと思います。
もし、憧れていた仕事ができる会社が地元にあったのであれば、それはそのまま伝えれば良いでしょう。
後ろ向きな理由はNGだというのは、通常の転職活動と同じですので注意してくださいね。
Uターン転職を開始するタイミング
では、「よし、地元にUターン転職をしよう!」と決意した場合、その活動はいつ始めるべきなのでしょうか?
現職の仕事を続けながら転職活動を行う場合と、退職してから行う場合のメリットを以下にまとめてみました。
現職で働きながら転職活動を行う場合
- 収入を得ながら転職活動を行えるので、焦りを感じずにじっくり検討できる。
- 現職に残る、という選択肢を最後まで残すことができる。
今の仕事を退職し、地元に帰省してから転職活動を行う場合
- 時間が取れるため、転職活動に専念できる。
- 面接の度に帰省をする必要がないため、交通費を削減できる。
一般的には、前者の「現職で働きながら転職活動を行う」方が良いと言われています。
収入が絶たれるというのは想定以上に焦りを生じさせるものです。その結果、急いでよく調べもせず転職先を決めてしまい、後々後悔するということも十分考えられます。
転職活動中、現職での状況が好転して仕事を続けるという選択肢を選ぶこともあり得るでしょう。
そのため、今すぐ現在の会社を辞める必要がない限り、仕事を続けたまま転職活動を始めることをおすすめします。
しかし、地元が遠方であったり、今の職場に強い不満があったりする場合には、一旦退職をしてから転職活動を行うのも手です。
実際に私も仕事を辞め、地元に帰省してから転職活動を行いました。
退職時に残っている有休を消化しながら転職活動を行えるのであれば、期間も十分に確保できるので精神的にもゆとりを持って次の職場を検討することができます。
地元での就職先の探し方
今後の人生を見据え、Uターン転職を行うことを決めたとして、地元での仕事を探すのにはどういった方法があるのでしょうか。
- 家族や知人からの紹介
- ハローワーク
- 地方自治体が実施するUターン就職説明会に参加する
- 地元で開催されている転職説明会に
- 転職サイトに登録する
- 転職エージェントを利用する
- 自分で直接、企業に応募する
都会で働きながら地元の仕事を探すのであれば、活動がかなり制限されたものとなります。
面接をリモートで行ってくれる企業であれば良いのですが、場合によっては面接のために、平日に有休を取って地元に帰る必要もあるでしょう。
そのため、今の仕事を続けながらUターン転職を行う方は、地方自治体が企画した転職説明会や、Uターンに特化した転職サイトや転職エージェントを活用するのがおすすめです。
転職エージェントならいつでも利用することができますし、諸条件や日程の交渉などを代行してくれるため、転職活動の負担を減らすことができます。
<Uターン転職に特化した転職サイト、転職エージェント(一例)>
- はたらいく
リクルートが展開する、地域密着型の転職サイト
https://www.hatalike.jp/?hakenreco
- ヒューレックス
地域密着型の転職エージェント
https://www.hurex.jp/lp/l_hurex/?_rt_ck=2057.240101461442
- 株式会社人材情報センター
北陸エリアに強い転職サイト
https://www.jjc-net.co.jp/?hakenreco
- キャプラ
中国地方に強い転職エージェント
https://www.capla-tensyoku.jp/
一方、先に退職して地元に帰ってから転職活動を行う場合には、時間の制約がなくなるため数を打つことが可能となります。
そのため、転職エージェントに加えてハローワークに登録したり、地元で開催されている転職説明会に足を運んだりと、積極的に情報収集を行い、志望企業への応募を行いましょう。
転職活動では、ある程度「数を打つ」ことも必要になるのも事実です。
帰郷して時間を確保できるメリットを活かして、いろいろな会社を調べていきましょう。
Uターン転職で活用できる支援
Uターン転職では引越しに費用がかかりますし、収入も一時的に途絶えてしまします。
そのため、Uターン転職をする際にぜひ確認したいものとして、国や地方自治体が提供している支援があります。
以下に一例を記載しますので、参考にしてください。(執筆時点の情報です)
- 全国型地方創生移住支援事業
東京23区に在住または通勤する方が、東京圏外へ移住し、起業や就業等を行う
方に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業です。
単身の方であれば60万円以内で、各都道府県が設定した金額が補助されます。
https://www.chisou.go.jp/sousei/ijyu_shienkin.html
- いしかわ移住パスポート(石川県)
石川県への移住希望者や移住者に対して、協賛する企業からの割引や特典などのサービスが
受けられます。
≪割引例≫
・アーク引越しセンター:引越基本料金が最大30%割引
・クロダハウス:賃貸の不動産手数料50%割引
https://iju.ishikawa.jp/ipass/
- YY!ターン(UJIターン)パスポート(山口県)
山口県が協賛企業等と連携して移住に伴う、移住に伴う経済的負担に対する支援です。
≪割引例≫
・サカイ引越センター:引越基本料金より 30%割引
・山口マツダ:新車購入時に普通車5万円(軽自動車3万円)のオプション など
https://ymg-uji.jp/support/passport/
その他の自治体も同様の支援策を設けていますので、Uターン先の自治体を調べてみてください。
まとめ
Uターン転職が実現できれば、生まれ育った地元で家族や友人たちとの時間を楽しむことができるようになるでしょう。
Uターン希望者向けの転職説明会や転職サイトなどを活用することで、限られた時間を有効に活用することができます。
ゆとりを持った転職活動を行うため、今の仕事は継続しながら進めることをおすすめしますが、続けることが厳しい状況であるなら先に地元に帰って、転職活動に専念するという方法でも大丈夫です。
また、転居を伴う転職では、引越しや新居など新生活に向けた費用も多く発生しますので、地方自治体が提供している支援策も忘れずに確認しましょう
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