Webライターを始めて間もない方の多くは、いざ文章を書き出した際の「日本語」にいまいち自信を持てない方も多いのではないでしょうか?
普段なら不自由なく使えている日本語も、不特定多数の読者に読んでもらうとなると途端に言葉の選択を躊躇してしまうものです。
誤った表記をしてしまい、せっかく見つけたクライアントからの信用を失いたくないですよね。
そんな時に心強い味方となるのが『記者ハンドブック』です。
Webライターに限らず、物書きを仕事としている人であれば誰しもが持っているとされているほど、必須な本といえます。
この記事では、記者ハンドブックについての特徴をご説明します。
記者ハンドブックは、ライターが「わかりやすくて、やさしい」文章を書くための手引書
記者ハンドブックは、書き言葉の表記や揺れを防ぎ、誰にでもわかりやすくてやさしい文章を記述するためにあります。
一般的な国語辞典は、敬語やことわざなどの使い方や解説を載せているものが多いですが、記者ハンドブックはあくまでも”表記”についての取り扱い方を記載しています。
「わかりやすくて、やさしい」日本語の例
尋ねるという意味での「きく」を例に説明します。
この場合の「きく」には「聞く」と「訊く」という漢字が用いられます。
どちらも正しい日本語ですが、記者ハンドブックでは常用漢字である「聞く」を用いるものとされています。(参照:記者ハンドブック 第14版 206頁)
常用漢字は小中学校で習う文字であるため、より多くの人が難なく読むことができるというわけです。
もちろん「訊く」も日本語としては正しいですし、小説でも使用されています。
それ故、執筆する際に混同してしまうことがあるため、記者ハンドブックのような基準を示すものが必要となるのです。
記者ハンドブックの内容
記者ハンドブックの構成は以下の通りになっています。
- 新聞漢字・仮名遣い
- 書き方の基本
- 用字用語集
- 記事のフォーム
- 資料編1
- 資料編2
いずれの内容も記事執筆の際に参考にすべきものですが、特に「用字用語集」や「資料編1」内の「紛らわしい会社名」、「資料編2」内の「外来語の書き方、用例」あたりがWebライターとして仕事をはじめて、すぐに役に立つ箇所だと思います。
用字用語集の例
先程の「きく」以外の例を以下に記載します。
「しゅうそく」は、落ち着くという意味では「収束」、根絶されるという意味では「終息」。
(参照:記者ハンドブック 第14版 269頁)
「せいさく」は、芸術やソフト的なものだと「制作」、具体的・量産する場合は「製作」。
(参照:記者ハンドブック 第14版 295頁)
紛らわしい会社名の例
キヤノン ※「ヤ」が大文字
(参照:記者ハンドブック 第14版 575頁)
ブリヂストン ※「ジ」ではなく「ヂ」
(参照:記者ハンドブック 第14版 575頁)
三菱UFJ銀行 ※「東京」は入らない
(参照:記者ハンドブック 第14版 575頁)
外来語の書き方、用例の例
つまる音「ッ」は基本的に入れない。ただし、入れることが一般化したものは例外。
(参照:記者ハンドブック 第14版 740頁)
(例)スパゲティ、ファクス、ルネサンス など
(例外)アットホーム、ルックス(容姿)など
2語からなる複合語には原則として「・」を使わない。ただし、判読に困難な場合は例外。
(例)ウオーミングアップ、セクシュアルハラスメント など
(例外)ギブ・アンド・テイク など
※上記は筆者の記者ハンドブック。まだまだ奇麗なまま。
記者ハンドブックの購入
記者ハンドブックは第14版(2022年発行)が最新 ※2024年4月現在
もしまだ記者ハンドブックを持っていない方は、こちらから購入できます。
Webライター以外の方にもおすすめですよ。
共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK
記者ハンドブックは基本的には書籍として販売されていますが、PC向けに変換ソフトとしても販売されています。
PCに文章を入力する際に適切な書き換えを提案してくれるため、Webライターとの相性は良いでしょう。
ジャストシステムの通販サイト(Just MyShop)から販売されています。
初めて購入する場合は 5,280円(税込み)、第13版を持っている方には「バージョンアップ版」として 2,200円(税込み)で購入できます。(2024年2月現在)
まとめ
自分が書いた記事を多くの人に読んでもらうためには、スムーズに読み込める文章表記が不可欠です。
記者ハンドブックはそのための基準が書かれているので、これから執筆を行っていくうえで頼りになる存在といえるでしょう。
もちろん、記者ハンドブックは持っているだけでは意味がありません。
手元に用意しただけで満足せず、実戦でどんどんと使って自分の知識にしていってください。