現在、マニュアル車(以下、「MT車」)の割合は 2%にも満たないといわれています。
クラッチ操作が必要なく、アクセルとブレーキだけで扱えるオートマ車(以下、「AT車」)は普段使いがしやすいため、自然な流れだといえるでしょう。
しかし、MT車にしかないメリットもあり、こだわってMT車に乗っている人も多いですよね。
この記事では、MT車のメリット・デメリットを中心に、練習のコツや、2024年現在で購入可能な車種を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
MT車の特徴
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MT車の特徴といえばクラッチペダルと“ガチャガチャ動かす” シフトレバーの存在でしょう。
ドライバーはこれらを同時に操作し、速度に応じたギアを選択することで、クルマを走行させることができます。
MT車のメリットとデメリット
【メリット①】操作性が高い
MT車はAT車に比べて操作性が高く、クルマとの一体感を感じることができます。
これは、AT車がアクセルペダルでしか出力をコントロールできないことに対し、MT車ではシフトでも行うことが可能だからです。
具体的には、MT車もAT車もエンジンの出力はアクセルペダルで調整しますが、その力を増幅させるレシオ(ギア比)については、MT車は自分で選択できるということになります。
体感的に伝えるならば、加速具合を自由にコントロールできる、という感じです。
また、アクセルを離した際のエンジンブレーキも利きやすいため、長い下り坂を走行する場合でもアクセルの調整だけで済ますことができます。
こうしたことから、MT車は操作性があるといわれているのです。
【メリット②】車両価格が安いケースがある
AT車が圧倒的に多い今日でも、車両価格はMT車の方が安い場合があります。
これはMT車は部品点数が少ないことが要因です
ただし、例外もあり、特に6速MT車はAT車よりも高額になっているケースもあります。
具体的な事例をみてみましょう。
【トヨタ】ヤリス
[参照] トヨタ ヤリス | トヨタ自動車WEBサイト (toyota.jp)
左がAT車で右がMT車です。
MT車の方が76,000円安くなっています。
【スズキ】ジムニー
[参照]ジムニー 価格・グレード|スズキ (suzuki.co.jp)
価格欄の左がMT車です。
ジムニーもMT車の方が99,000円安くなっています。
【マツダ】MAZDA2
一方で、MT車の方が高額になる場合もあります。
この車種の場合だと、MT車の方が55,000円高くなります。
[参照]MAZDA2|グレード・価格 – ディーゼル/ガソリンラインナップ|マツダ
【メリット③】踏み間違え事故が起きない
発進時のペダルの踏み間違いが起きにくいのも、MT車のメリットでしょう。
MT車では、通常の場合、発進時にクラッチを丁寧につなぎます。
そのため、仮にシフトを誤ってリバースに入れていたとしても、ゆっくりと発進するので大事になる前に停止することができます。
そもそも、シフトの位置が1速とリバースでは異なるため(特に5速では反対位置)、シフト操作も間違いにくいです。
【デメリット①】販売している車種が少ない
もちろん、MT車にもデメリットはあります。
MT車を選ぶ際の最大のデメリットは、売られている車種が少ないことでしょう。
なにせMT車の比率は2%以下となっているのですから、メーカーの立場としては車種を絞りたくなるのは当然かも知れません。
【デメリット②】 運転できる人が限られる
MT車の運転には普通免許(いわゆる「限定免許」ではない)が必要になります。
普通免許を持っていたとしても、何年もMT車に乗っていないと運転の仕方を忘れてしまっている場合もあるでしょう。
そのため、運転に疲れたとしても、同乗者がMT車を運転できないと交代することができません。
家族でクルマをシェアしている場合なども、使い勝手が悪くなってしまいます。
MT車を運転しよう
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限定免許の方は、限定解除をしよう
「免許はAT限定で取ったけど、MT車にも乗ってみたくなった!」という方は、免許の限定を解除する必要があります。
限定解除は自動車学校で行うことができます。
おおよその目安となりますが、期間は 2〜3日、費用は5万円〜7万円となっていることが多いです。
久しぶりの方も、自動車学校等で練習ができる
「普通免許は持っているけど、しばらくMT車を運転していなかったから不安だ」という方もいらっしゃると思います。
そうした方も自動車学校で練習を受けることができます。
秋頃から高校を卒業する生徒で込み合うため、それ以外の期間の方が予約を取りやすいでしょう。
また、私の場合は免許センターに併設された安全運転研修所で教えてもらいました。
(ただし、安全運転研修所の本来の受講目的とは異なるため、お住いの地域によって受講できないかも知れません)
もちろん、自分で練習さえできれば、自動車学校に行く必要はありません。
≪発進時のアドバイス≫
久しぶりにMT車を運転するとなった際、一番不安なのが発進だと思います。
一度クルマが発進さえしてしまえば、まずエンストになることはないため、この操作をいかに正確に行えるかがポイントになります。
私が助けになったと感じるコツを2つ記載します。
①クラッチのあそび幅を知る
クラッチにもブレーキと同様、あそびが設けられています。
まずはクラッチペダルをゆっくり離し、どこからクラッチがつながるのかを感覚的につかみましょう。
クラッチがぎりぎり繋がらない場所で維持できれば、いざ発進する際にすぐにクラッチをつないで動力を伝えられるため、坂道発進でも後ろに下がらず進むことができます。
②アクセルペダルを踏まなくても、クラッチペダルをゆっくり緩めるだけで発進はできる
自動車学校で教わった、アクセルとクラッチを同時に操作するやり方が難しく感じる場合には、このやり方を試してみてください。
発進はじめはアクセルを踏まず、クラッチをゆっくりつないでいきます。
クルマが少し動き出したら、今度はアクセルを徐々に踏み込み、加速をしていきます。
集中するのが片足ずつなので、発進が楽になります。
(①のあそび幅もこの方法であればより早く習得できると思います。)
ダメ押しで貼っとけば安心
MT車であることを後続車に伝えるステッカーです。
慣れるまでの間これを付けておけば、後続車もスペースを空けてくれるでしょう。
新車で買えるマニュアル車
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2024年4月現在、新車で買えるMT車をいくつかリストアップしました。
興味のある方はリンクから各メーカーの車種紹介ページを参照してください。
トヨタ
ホンダ
- N-ONE
- シビック
- シビック TYPE-R ※現在、生産中止中
日産
マツダ
スバル
スズキ
アバルト
実際にMT車に乗る者として
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私も今はMT車に乗っています。
免許を取って以来、15年以上MT車の運転はしていなかったので、納車から数日は何度かエンストをした記憶があります。でも、すぐにAT車と同じ感覚で運転できるようになりました。きっと普通免許を持たれている方であれば、同じように乗れるようになるはずです。
もうすぐMT車に乗り換えて3年半が経ちますが、やっぱりMT車にして良かったと思います。
何といっても操縦が楽しいですし、自分の「クルマ好き」を表現する一つの方法だと感じるからです。
次のクルマは家族の関係でAT車になるかも知れませんが、MT車を味わって乗る期間があったというのは幸せなことだと思います。
将来的にMT車は存続し続けるのか……。だとしても車種がさらに減っているのではないか……。
今、MT車の購入を検討されている方は、好きなMT車に乗れるうちに乗っておくことをおすすめします。
まとめ
現在のMT車乗りの比率は2%以下という、極めて少数派となっています。
しかし、MT車にはAT車にはないメリットも多く存在します。「操作性が良く、運転が楽しい」と感じられるのがその代表的なものではないでしょう。
2024年現在でもMT車は各メーカーから発売されています。
スポーツカーに限らず、コンパクトカーや軽自動車でも見つけることが可能です。
MT車を考えられている方は、ぜひ一度ディーラーに見に行ってはいかがでしょうか。
それでは、素敵なカーライフを。