クルマを選ぶ際に燃費を気にするという方は多いと思います。
2021年後半からガソリン価格が高止まりしたままになっているため、通勤などで毎日クルマを使う方にとっては特に気になるポイントとなるのではないでしょうか。
現在の燃費表示は、市街地や高速道路などの走行状況に応じた数値を示すようになっており、より実態に近い燃費を知ることが可能です。
ただ、自動車メーカーの車両紹介ページに記載されている数値は、各走行状況の燃費を統合した数値のみとなっているケースが多いです。また、車両によって各走行状況の燃費数値のひらきも異なります。
そこでこの記事では、クルマの燃費表示やその確認方法について説明し、より燃費を良くするためのコツについても記載しました。
ぜひ参考にしてみてください。
現在の燃費表示
画像:Unsplash
WLTCモード
現在の燃費表示は『WLTCモード』と呼ばれる、国際的な燃費測定方法によって計算されたものです。
正式な名称は『Worldwide harmonized Light duty Test Cycle(世界統一試験サイクル)』で、日本ではこの表示を2018年10月から全面導入しました。
2024年現在ではまだ馴染みのない方も少なくないかも知れません。
WLTCモードは『市街地モード』と『郊外モード』、『高速道路モード』の3つの走行条件を平均的な使用時間配分で走行した場合の数値を示しています。
そのため、利用者が普段走行している状況にあった燃費が確認しやすくなっています。
≪市街地モード(Low)≫
信号や渋滞がある、比較的ゆっくりとした走行で小まめなストップと発進を繰り返す走行。
≪郊外モード(Medium)≫
信号や渋滞が少ない状況での走行で、中速で安定した走行。
≪高速道路モード(Hight)≫
高速道路などを高速で安定した走行。
※日本では上記3つのモードですが、海外ではさらに早い速度域を測定するモード(Extrta-High)も設定されています。
従前のjc08モード(現在も併記可能)と比較して、人員や荷物の重量・アイドリング時間などの設定が変更されました。
過去の燃費表示(jc08モードは現在も併記)
10・15モード
1991年から採用された、日本独自の測定方法です。
当時の測定技術ではまだまだ実燃費との差も大きいものでした。
JC08モード
2013年3月に10・15モードから完全移行された測定方法です。
こちらも日本独自の規格となります。
測定時の速度変化をより細分化したり、エンジンが冷えた状態から走行するケースを考慮したりして、10・15モードよりも実燃費に近い数値となりました。
なお、現在でもWLTCモードと併記するかたちでjc08モードの表記は可能となっています。
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https://image.moshimo.com/af-img/5443/000000074926.png燃費の確認方法
メーカーサイトに出ているのは3つの走行モードを統合したものが多い
WLTCモードの燃費数値は各自動車メーカーサイトなどで簡単に確認することができます。
ただ、表記されている数値は3つのモード(市街地・郊外・高速道路)を理論的に統合したものとなっていることが大半なので、その場合には別の資料から走行状況ごとの数値を確認する必要があります。
以下はホンダのWR-Vの車両紹介ページです。
例えば一番右のタイプ「X」の場合、WLTCモードは16.4kmですが、これは3種類の値を統合したものとなっています。
【参照:本田技研工業サイトより】
モード毎の数値は諸元表で確認しよう
サイトの各車種紹介ページには『諸元表』という資料があります。
モードごとの数値を確認するにはこちらを確認しましょう。
※一部車種では諸元表でも統合した値のみとなっている場合があります。
先程のWR-Vの紹介ページを下までスクロールすると、『主要諸元表』を選択できます。
(下記の青マーカーを付けた部分)
【参照:本田技研工業サイトより】
以下は諸元表の一部を切り取りった画像です。
タイプ「X」では平均値16.4kmですが、市街地モードでは12.4km、郊外モードでは17.4km、高速道路モードでは18.2kmだと分かります。
【参照:本田技研工業サイトより】
各モードの燃費数値のひらきは、車種によってちがう
『市街地モード』と『郊外モード』、『高速道路モード』のそれぞれの燃費間の差は車種によって異なります。
せっかく状況に応じて計測されているWLTCモードなので、自分がクルマをよく利用する条件の燃費を確認してみましょう。
先程紹介した、HondaのWR-V(X)とSUZUKIのXbee(2WD)で見てみます。
HondaのWR-V(X)
WR-V(X)の諸元表を再掲します。
【参照:本田技研工業HPより】
最も燃費が悪い市街地モード(12.4km)と、最も燃費が良い高速道路モード(18.2km)との差は 5.8㎞あります。
SUZUKIのXbee(2WD)
続いてSUZUKIのXbee(2WD)のWLTCモード表記です。
この車両の場合は車両紹介ページに各モードの数値が載っているので、諸元表を見なくても確認することができます。
【参照:スズキ株式会社HPより】
最も燃費が悪い市街地モード(15.9km)と、最も燃費が良い高速道路モード(18.8km)との差は 2.9㎞あります。
WR-Vでは走行状況によって6km近い差があることに対し、Xbeeでは3km程度となっていることが分かります。
これはハイブリッドシステム(Xbeeの場合はマイルドハイブリッド)の有無など様々な要因があります。
購入を検討しているクルマについても確認しておいて損はないでしょう。
ハイブリッド車は市街地モードが最も燃費が良いことが多い
WLTCモードでは、高速で安定した走行を想定した『高速道路モード』が最も良い燃費数値となることが多いです。
しかし、ハイブリッド車については『郊外モード』が最も良くなるケースもあります。
これは、高速走行ではモーターのサポートがなくなり、モーターやバッテリーの重量が燃費に響いているからです。
以下はトヨタのAQUAの諸元表です。
どのモデルでも郊外モードが最も燃費が良いことが分かります。
また、高速道路モードよりも市街地モードの方が燃費が良いのも、モーターのサポートがあるからです。
【参照:トヨタ自動車株式会社HPより】
燃費を良くするコツ
画像:Unsplash
せっかく燃費の良いクルマを購入しても、実際にその性能を活かせるかは購入後の取り扱いにかかっています。
ここでは燃費が良くなるコツを5つご紹介します。
不要な荷物は積まない
クルマは軽い方が燃費が向上します。
「いつかまた使うかも知れないから……」と普段使用しない荷物を積んだままになっていませんか?
荷物は使用するときに積み込むようにして、クルマを軽くしておきましょう。
タイヤの空気圧を適切に保つ
タイヤの空気圧を適正に保つことも、燃費の向上に有効です。
JAFが実験をしたデータによると、空気圧が適正から30%減少すると4.6%の悪化、60%の減少では12.3%も悪化しています。
タイヤの空気圧が低下するとバーストの危険もあるため、月に1度は点検を行いましょう。
急加速をしない
急加速は燃費によくありませんので、状況に応じて適切な加速を行いましょう。(いわゆる「ふんわりアクセル」)
ただし、あまりにゆっくりした加速だと後続車の出発が遅れ、信号が変わる間に通過できる車両数が少なくなってしまいます。
その結果、道路に滞留するクルマが増えてしまい、全体で見れば環境に悪影響を及ぼします。
トラブルを避けるためにも、状況に応じたアクセル操作を心掛けましょう。
スピードは一定に
一定の速度で走行するとエンジンへの負荷が少なく、燃料消費も抑えられます。
車間距離を十分に取り、できるだけスピードの加減速をしなくても良い運転をしましょう。
エンジンブレーキを活用する
道の先が赤信号などの場合に、早めのアクセルオフを行うことで燃料の消費を抑えることができます。
まっすぐな道では1つ前だけでなく、その奥の信号機も確認することでアクセルオフのタイミングをつかみやすくなります。
まとめ
現在のクルマの燃料表記はWLTCモードと呼ばれる世界標準の測定方法により行われています。
WLTCモードでは走行状況を3つのモードに分けて測定をしており、各モード間での燃費差は車両によってまちまちです。
せっかく様々なクルマを比較検討するのであれば、ご自身の走行状況に最も近いモードを確認することでより実燃費に近い数値を把握することができますので、ぜひ確認してみてください。
それでは素敵なカーライフを!
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